2019年11月17日日曜日

ぽた~じゅ屋✖️韓国⑥ 韓国の若者たちとの腹を割った語らい

韓国の若者たちの驚くほど流暢な日本語を前に僕の韓国語はあまりに乏しく、軽い挨拶と「スンドゥブ・ジュセヨ(スンドゥブお願いします)」ぐらい。しかも、そのフレーズを口に出すと笑いが起きるので、多分間違っています。ただ、超ポジティブに考えれば、経験上、笑われるというのは外国で友達を作る上で効果絶大なので、あとは英語と日本語で乗りきるのみ。
同じテーブルの人たちと話していると、日本に旅行や仕事で行ったことがある人もない人も、共通しているのはアニメや漫画を通して日本文化に関心を持ったということ。そして、多くの人が見ているアニメは「Naruto」「ワンピース」。僕は普段マンガやアニメを見ないので、話についていけませんでした。ただ、韓国の若者達の僕に対する羨望の眼差しは凄いものがあります。「日本人」であるというだけで軽く人気者なのです。『あのマンガを描いた漫画家がいる国からきている人』というかなり大胆なくくりで僕はチヤホヤされているのです。Narutoとワンピースの読破を心に誓いました。
ありがとう漫画家さん。
ありがとう週刊少年ジャンプ。


僕が着いて1時間ほどで会が終わる夜九時になりました。その頃には何人か仲良くなれそうな人ができていました。特には隣に座っていた女性で、つっかえながらの日本語だけど、話す内容や仕草に誠実さがこもっていました。名前はイジーさんといい、この会には初参加でした。
主催者が、テレビの司会のような少し大袈裟な身振りで締めの挨拶をして「希望者は居酒屋に席を移して交流を続けられる」と言いました。彼の、リズム感と抑揚のある口調に載せられて、ほぼ全員行く雰囲気になっていました。僕の回りの席にいた数名も居酒屋行きの列に加わりました。
みんなでゾロゾロとならんで歩き、500mほど歩いて居酒屋に着きました。好きな席に座ります。僕のテーブルはカフェとは違うメンバーでしたが、イジーとはまた隣同士でした。その他はベルギー人女性とスイス人男性、三人の韓国人がいました。

酒を交えた会は、最初は音楽や流行など他愛もないことから、酔いが深まるにつれて、複雑な話に発展して行きました。韓国とスイスの徴兵制の違い、北朝鮮と韓国の関係、そして、日韓関係。
日本文化をこよなく愛しても、今まで日本人とコミュニケーションをとる機会がなかった彼らは、僕との出会いや、複雑でセンシティブな内容の話がお互いにできることをとても喜んでくれました。僕も嬉しかった。「戦後最悪の日韓関係」と称される今日に明るい未来がチラリと見えた気がしました。

韓国の若者達は、新大久保や川崎のヘイトスピーチや、韓国・朝鮮ルーツの人々を日本から追い出そうとする一部人々の動きについてニュースで見ていて、とても不安を感じ悲しんでいました。
韓国も日本も強硬的な右派が大声で焚き付けて感情を煽り、テレビやネット上には、あたかも相手に対して嫌悪感を抱くのがマジョリティであるかのように映されます。「反日・反韓」で利益を得る人々が握りしめる拡声器によって、実体の何倍にもなって相手の国に届いているのです。真実は、どちらの国でも攻撃的な人々は少数派のはずです。
でも、今日語り合って、日本と韓国の若者は仲良くやっていけることを知りました。
嬉しくて仕方ありません。

終電が近づき、僕は店をあとに。帰りの電車のなか、鳴りっぱなしのスマホ。今日出会った韓国の若者たちからのLINEやcafetalkです。
「今度、必ず日本に行くので、また会いましょう!」

僕:「待ってます。その時はうちに泊まってね。😄」

2019年11月11日月曜日

ぽた~じゅ屋✖️韓国⑤ 旅に命を吹き込むもの

お腹がいっぱいで、韓国の町並みも見慣れてくると、これ以上自分が何をしたいのか分からなくなってきました。なんとなくゲストハウスに向かって歩いていますが、途中、ショッピングをしたいわけでも、エステに行きたいわけでもないので、ただ歩くだけです。今までいろんな国を旅してきましたが、都市部はなんとなくどこも景観が似ているので一日歩いていると新鮮さがなくなってしまうのです。
「あぁ、明日もこうして1日中ひとりで歩き回るのか」と思うと、ちょっとげんなりしてきました。韓国の食べ物は美味しいですが、日本のように一人飯文化は浸透しておらず、二人以上でテーブルを囲う文化なので、どれもボリュームが多くて一人だと入りづらいお店も結構あります。
とりあえずそのまま歩いてホテルに戻って、ベッドに横たわりました。すでに夕方6時過ぎ、しばらく休んでまた市場に行くことにします。
かなり歩いたので、体がベッドに溶けていくようでした。そのまま気持ち良く眠れそうなのに心のどこかで何かを渇望している。それが引っ掛かって眠りに落ちることができずにいました。このままだと旅が生命感のないスカスカな状態で終わってしまう。足りていないのは何だろうとぼんやり考えていると、ふと、
「友達が欲しい」
という心の声が聞こえてきました。
「友達を作ってもっと深い旅にしたい」と。

すぐに「meetup 」という同好会アプリを開いて、今日、近くで開催されているイベントを探します。すぐに「日本韓国languae exchange会」なるものを見つけて、参加申し込みをしました。アプリ上では、40人の枠が39人まで埋まっていて、僕がラストの40人目と表示されています。「え、俺で最後?ついてる!何かの思し召し??」と一瞬思いましたが、人気のイベントに見せかけるためのフェイクかもしれません。「戦後最悪の日韓関係」といわれるこのご時世に、日本人と接したい韓国人が多くいるはずがない、と思いますよね。だから、多分5人くらいのこじんまりした会なんだろうと。まあ、それでも誰か一人でも仲良くなれる人がいて、明日ソウルの町を一緒に歩けたら最高です。
すぐに部屋を出て、弘大(ホンデ)という駅に向かいます。駅から会場まではすぐ。雑居ビルの2Fにあるカフェが会場でした。
ガラス張りのカフェ内を覗くと、ほぼ満席。イベントに関係のない一般客と思いきや、ほとんどが日本に関心がある韓国人の若者でした。40人の席はフェイクでなく本当に埋まっていて、この「日韓language交流会」は人気のイベントだったのです。参加者の8割が韓国人で、日本人は僕を含めて4人。あとは、海外からの留学生や旅人。40人が5つのテーブルに別れて思い思いのテーマで話をしていました。
主催者に振り分けられたテーブルにつくと、韓国人の若者達が目を輝かせて話しかけてきました。レベルはそれぞれ違うけど、十分伝わる日本語です。みんなアニメやドラマで独学で勉強していると言っていました。みんな口々に「日本人の友達がずっと欲しかったんだ」と。長い間勉強してきて、今日初めて生で日本人と話せた、という人もいました。
胸が熱くなりました。
韓国にはこんなに日本を好きでいてくれる人たちがいる。
この会に参加して、僕の韓国旅行は血が行き渡り授肉し始めました。

次回に続く。

2019年11月10日日曜日

ぽた~じゅ屋✖️韓国④もはや苦行

有名なスンドゥブのお店まで一駅なので歩いて行くことにしました。ソウル市内のメトロ駅間は歩ける距離です。この日は天気も良く、気候も涼しいので散歩にはもってこいでした。しかし、お腹にはしっかり緑豆チヂミが詰まっていて、歩くと少々息苦しい。500m歩いたくらいではいなせず、パンパンに張ったお腹のままスンドゥブ屋に着いてしまいました。
お店の外観も中もこじんまり。地元民のための食堂といった雰囲気です。こちらには韓流スター達もお忍びで来るらしいですが、観光客慣れはしていないようで、席についてから注文するまで、おばちゃんがなんだか気難しくニコりともしないので、僕はすっかり緊張していました。しかし、いざ注文が入るとやはりプロフェッショナル。慣れた手つきでテンポ良く火の上に石鍋を広げていきます。グツグツと煮立ったスンドゥブは魚介の香りがしっかり効いていて、大変美味でした。お値段も500円と安い!
 さあ、もういい加減何も食べられないほどお腹が一杯になりました。「カムサハムニダ」とおばちゃんに声をかけて店を後にします。結局、最後までおばちゃんが僕に微笑みかけることはありませんでした。
ここから300m歩くと、チョンノ3街というエリアに行けます。小さいスペースに個性的で可愛いお店がひしめき合う若者が集まるスポットです。道すがら屋台が美味しそうな湯気を出していますが、お腹は一杯なのと、大体はカンジャンシジャンでも食べられるものなのでスルー。真っ直ぐオシャレタウンに向かいます。
このオシャレエリアは凄いです。日本にはないです。たぶん、作れないです。日本の建築基準法ではNGな密集度。でも、どのお店も巧みに空間がデザインされていて、個性的。辺りは若い人たちでいっぱいです。デートには最高だろうな。

ぽた~じゅ屋✖️韓国③広蔵市場(カンジャンシジャン)

広蔵市場は想像していたよりもゲストハウスから近く、すぐに見つかりました。さらに、非常に広い敷地にも関わらず、生地なら生地同士、チヂミならチヂミ同士、同じ品物を扱う店が並列しているため、ネットフリックスで紹介されていた屋台も簡単に見つけることができました。
特に行きたかった、笑顔がステキなおばちゃんのカルグクス屋は11時過ぎにはすでに混んでいました。お客のなかには僕と同じくネットフリックスを見てきている人も少なくないようで、来る人来る人スマホを向けておばちゃんの写真を撮っていきます。彼女もメディア慣れしているらしく、カメラを向けられるとニコッと笑います。大きな口を開けてニカッと笑う、本当にステキなスマイル。僕も食べ終わって撮らせてもらおうと思いましたが、丁度ピークタイムに重なってしまい、忙しそうにしてるところお願いするのも悪いので、隠し撮りみたいになってしまいました。
こちらのカルグクス、韓国式の手打ちうどんといった感じです。目の前でおばちゃんが打ったうどんを、優しい味付けのスープでいただきます。スープは化学調味料的な味はなく、素材の素直な味をいただきます。目の前にうず高く積まれた餃子も思わず注文。市場内だから全て新鮮。美味しいです。
そのあと、同じ市場内にある漬物屋に。こちらではカニを丸ごと醤油漬けにしたものを頂きます。これもネットフリックスでやっていました。まるごとの蟹はホテルの部屋で食べるのは難しいので「ここで食べていきたい」と店のお兄さんに英語で伝えました。すると「大丈夫です」と日本語で返ってきました。さらに流暢な日本語で食べ方を説明してくれました。どうして日本語がわかるのかを聞くと、彼には日本人の恋人がいて独学で学んでいるんだそうです。「自分は真面目に勉強しているのに、彼女は韓国語をやらない」とボヤきながら蟹を解体してくれます。手際よくバラすと、甲羅を器にしてご飯を載せ、味噌と和えます。手足はちゅうちゅう吸うようにと教えてくれました。食べてみるとカニ味噌の濃厚な香りが口の中に拡がりました。お店の商品は全て飛行機で持ち帰れるというので、帰りがけにまた寄ることにしました。

 そして、もうひとつ、場内で強い存在感を発揮している食べ物が「緑豆チヂミ」。鉄板の上で熱々になった胡麻油の池で、臼で挽いたばかりの豆ペーストをこんがり焼き揚げる。これがまた旨い。とても香ばしく、食感も良い。ボリュームもあります。

しまった!
お腹が一杯だ。スンドゥブを食べれない (^_^;)

ぽた~じゅ屋✖️韓国②ソウル市二日目

日本からソウルに来る場合、金浦空港か仁川空港のどちらかを使います。この二つの空港は東京の羽田と成田のようなもので、前者は都市部に近く割高で、後者は遠くて割安。今回は滞在時間を有効に使いたかったので、近くて割高な金浦空港にしました。
空港からは、地下鉄5番線が、40分程で乗換なく市街地に出られるので便利です。プラットホームはガラス張りになっているので、接触事故による遅延の心配もありません。地下鉄の券売機は日本語にも対応しているので難なく扱えます。(これでカード式の切符をデポジット込みの価格で買って)
(目的地でデポジット500ウォンを払い戻す)
地下鉄内の風景は、無防備に眠る人々、スマホに見いる人々、ひそひそ話をする人、日本と似ています。ただ、車内を見渡す限り、外国人の姿はあまり見かけないので、東京の方がソウル市に比べて国際化は進んでいるかもしれません。
車内は寝てる人が結構いるので、韓国も安全なんだと思います。
(この豪快な眠りっぷりは日本ではあまり見ない!笑)

 今回の旅は、ネットフリックスで見た広蔵市場(カンジャンシジャン)に行くことと、スンドゥブ研究がメインテーマなので、市場の近くのゲストハウスを予約しました。ウルチロ4街駅にある「キムステイ7」は一部屋4000円ほどでユニットバス付きの個室に泊まれます。部屋は使い込んだ感はありますが、清潔が保たれています。スタッフさんの日本語対応はなく、英語も片言ですが、フレンドリーで気持ちが良いです。普段、僕の一人旅はドミトリーに泊まって他の旅行者と情報共有しつつ、安く済ませるのですが、今回は最終日の飛行機が朝早い時間帯だったので、同室の旅行者に迷惑と思い、個室を取りました。
このゲストハウスで正解。地下鉄のマップを見ると、ウルチロ四街はソウル市内のホットスポットへのアクセスが良いことがわかりました。スンドゥブ・ハンティングも効率良く進められそうです。

さあ、荷物を置いて、いざ広蔵市場へ!

2019年11月8日金曜日

ぽた~じゅ屋✖️韓国①スンドゥブ・ハンター

現在、韓国のソウル市に来ております。
これまで海外はあちこちに行ってきましたが、近いがゆえに「いつでも行けるさ」と後回しにしてしまっていた韓国。
僕は地元が「都内の韓国『新大久保』」ですので、アジアの雰囲気に囲まれて育ちましたが、今回ついに朝鮮半島にわたったのです。
旅の目的は新しいメニューのアイデアをゲットすること。ネットフリックスの「ストリートグルメ」という番組で、広蔵市場が取り上げられていて、憎いほど美味しそうに映すので、どうしても韓国に来たくなりました。
来てみると、やはり新大久保とは別物。ハングル文字と、きらびやかなネオンに包まれた瞬間、ここは異国なのだと実感します。テクノロジーがちりばめられた地下鉄や、スモークガラスのタクシーを見ると、東京とは違う価値観が息づいていることがわかります。
ハングルは全く読めないので、駅の名前が読めません。路線図の中で同じ形の文字を探します。メニューも読めなくて食べ物がわかりません。なんとか解読しますが文字を読むというより、同じ形の図形を探していると言った方が近い。日本語で39年間かけて脳内に蓄積してきた物事が一瞬で使い物にならなくなったのを感じました。
この無力化される感覚に萌えるんですよね。
当たり前にできていた事が、新しい場所に移って急に出来なくなって、滞在中に少しずつできることが増えていく。この「振り出し感覚」、生きてる実感湧くわぁ、、、。